2018年01月13日
最初の事件・6
黒川が出掛けてしまい、イツキはまた部屋に一人。
ソファに寝転びながら、思い出したくも無い、あのレイプの時間を思い出す。
『…大人しくしていれば、怪我はさせない。…夜には返してやる…』
目隠しをされ、胸の前で両手首を束ねられ、腰の上に馬乗りされては、いくら優しい声で囁かれても、簡単に信じられるものではない。
とりあえずイツキは両手ごと、闇雲に振り回してみるのだが、結局その手は頭の上に引き上げられ、おそらくベッドの支柱に結ばれてしまった。
『……………や…』
無防備に晒された胸に、男の手が伸びる。
こうなってしまったら諦めるしかない。時間が過ぎるのを待つことだけが、唯一自分に出来ることだと、イツキには痛いほど解っている。
唇を噛みしめ、感覚を遮蔽し、ただただ、行為が終わるのを待っていた。
けれど、どうも、様子が違う。
今までに経験した、乱雑なレイプとは、……勝手が違うのだ。
身体の自由が利かなくなったイツキの胸を、男は、丁寧に舐めつくす。
好き嫌いはともかく勃ってしまう乳首を喰み、舌先でコロコロと転がす。
痛みの半歩手前。くすぐったさと感じてしまう所の中ほど。丁度良い加減で責め続け、同時に手が下半身に伸びる。
弄られる、と思ったが…、なかなかそこに、刺激は来ない。
イツキが無駄に腰をビクつかせると、男はイツキの耳元に顔を寄せ、聞き取れるかどうか境の小さな声で
『………かわいいな。………いい、反応だ。………もっと、気持ち良くしてやる』
と、囁く。
イツキは、今、自分を抱いているのは、…………実は、黒川なんじゃないだろうかと、……思う。
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