2018年01月24日

黒川の気遣い







「……誰だ?」
「あ。…えーと。清水先輩…」
「……ふん」


車のドアに手を掛けながら、イツキと黒川はそんなやり取りをする。
ふいに黒川が、清水の姿が見える位置まで身を乗り出し、チョイチョイと手招きする。



当然清水は面白くはないが、無視するわけにも行かず、車に近寄る。




「……なんスか。…俺、何にもしてないっすよ、まだ」
「そう突っかかるなよ。……あのな、お前、今日、イツキの傍にいろ」
「……はぁ?」
「悪さはするなよ?まあ、タカが知れているがな。……じゃあな」



最後の言葉はイツキに言ったのか。
黒川はイツキを見遣り、そしてもう行けとばかり手をひらひら振り、車のドアを閉めるのだった。






走り去る車を見送り、イツキは困ったように笑って、清水にぺこりと頭を下げる。
つい先日には、イツキと清水が一緒にいたからと目くじらを立てて激怒していた男が、今日は「傍にいろ」とはどういう事なのか。
清水は呆気に取られた顔で、イツキを見る。


「……なんだよ、アレ」
「えーと。…何でしょうねぇ…」




得体の知れないレイプ犯より、清水の方が安心と、判断したのだろうか。


黒川の気遣いは、イツキにも清水にも、解りにくいものだった。





posted by 白黒ぼたん at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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