2018年01月26日

さみしい清水








登校してみたものの、教室に人はまばらで、ほとんど、自習の状態だった。
梶原も、どこかで別の勉強をしているらしく、姿は見えない。
最近はメールも控え目で、あればあったで面倒なくせに、連絡が無いとなると…少し寂しい。


「……みんな、大変そうだね…」


空いていた隣の席に腰掛けていた清水に、そう呟く。
清水は暇そうに頬杖を付き、何か言いたげに、イツキをジロジロと見る。


「……お前は、最近、どうなんだよ…って、もう、聞くのも、飽きたよな…」
「……ふふ」
「黒川さんも、訳わかんねー。今日はお前の傍にいて、黙って、指でも咥えて見ていろってか?」
「…ごめんなさい。あんまり、気にしないで…。マサヤの考えてるコト、俺にもよく解らなくて…」


そう言って困ったように微笑む割には、イツキと黒川の間には、お互いにしか知り得ない親密な絆があるようで、清水は、妬ける。
いつの間にか、すっかりイツキは、黒川に戻ってしまったのだと気付く。


「……ふん」


つまらなそうに清水は鼻息を鳴らす。



「……ああ、俺、就職決めた。……埼玉の鉄筋屋」
「……えっ」
「…春から寮暮らし。…まあ、まだ、間があるけどな…」
「…そう、……なんだ…」




清水の突然の宣告に、イツキは驚き、言葉を無くす。
明らかに動揺し落胆する様子に、清水は、それだけでも少し、嬉しい気がした。






posted by 白黒ぼたん at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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