2018年02月16日

公認デート・7








「………馬鹿か、お前らは……」



ほどなくして佐野の目の前に、仏頂面の黒川がやって来る。
電話を受けて、飛んで来たのだろうか。
丁度仕事も一区切り付いた所だと言い、自分もビールを頼むと、煙草に火を付ける。
佐野はただただ、申し訳無さそうに項垂れ、イツキは別段変わりもなく、自分もお替りとビールを頼む。


「……すんません、社長…」
「…まったく。メシとセックスはワンセットなのか?しかも、そんな事をわざわざ聞くか、普通?」
「…だって、マサヤ。勝手にしたら、怒るじゃん…」
「『いいぞ、行ってこい』とでも言うと思ったのか、……馬鹿が」


黒川は声を上げ、後は呆れて話す事も無いという風に鼻息を鳴らし、テーブルに置かれたビールに口を付ける。
イツキも新しいビールを一口飲み、それから「…トイレ」と言い出し、席を立ってしまう。

……こんな空気感の中、黒川と二人にされた佐野は、もう、消えて無くなってしまいたいと、さらに背中を丸くする。




「……佐野」
「は、はい…」



呼ばれて、おそるおそる顔を上げる。
機会があるごとに自分がイツキを誘うのは、…まあ黙認されている事とは言え、公けに認められた話ではない。


けれど、


上目遣いでチラリと伺う黒川は、言葉の割には怒っている風でもなく、
馬鹿な奴と呆れながら、口の端を上げ、少し笑っているようにも見えた。






posted by 白黒ぼたん at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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