2018年02月22日

病院にて・1







「……入院?……叔父貴が?………」


年の瀬も押し迫った頃。
車を運転していた黒川は、一ノ宮からの電話を取る。
昼食にと、国道沿いの餃子屋に出掛けた帰り。
助手席のイツキは眠たそうな目を擦りながら、隣の黒川を見遣る。

短い通話はすぐに切れ、黒川は舌打ちをしながら、ハンドルを握り直す。


「……どうしたの…?」
「…池袋の叔父貴が入院だと。……まあ、持病のある人だが…、……この面倒な時期にな…」
「…面倒?」
「お前には関係ない話だ。……ああ、少し、寄るぞ。顔を出して来る…」





「叔父貴」と呼ばれる人は、池袋界隈を仕切っている組織の、若頭を務めているらしい。
実際、黒川とどういう関係なのか詳しくは教えてくれないのだが…まあ、どこかにいるらしい黒川の、「親父」の「弟分」という事なのだろう。
面倒見の良い初老の紳士で、一見では、その筋の人物とは見られないそうだ。
イツキは会ったことはないが、黒川と一ノ宮の会話の端々から、存在は知っていた。


もっとも、黒川は、あえて、イツキを遠ざけていた。
池袋とは仕事上の付き合いは無く、イツキに「仕事」をさせる必要も無かった。
隠している程では無いが、吹聴して回る理由も無い。
最近では揉め事も多く、争いが起きそうだという話も聞く。そこにわざわざ、首を突っ込む気は毛頭無いのだけれど…。



現在地から入院先の病院が近くだと聞き、直接、そこに向かう。
数十分で到着し、地下の駐車場に車を入れる。





posted by 白黒ぼたん at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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