2018年02月28日

病院にて・5








イツキは男の背中を見つめる。
一瞬覗いた横顔、視線。声。……黒服に包まれた身体、肩幅、印象、雰囲気。
どれも小さな断片でしかないが、それらを掻き集めて、記憶の先に繋げる。

まさか、そんな筈は無いだろうと思う。
たまたま訪れた病院の待合で、擦れ違うことなど無いだろうと。


それでも、なんとなく、感覚的に




あれは、先日自分をレイプした男なのだと、思った。







男はフロアの奥で他の数名の男と落ち合い、立ち話をしていた。
遠目でも解る体格の良い男達は同じように黒い服を着ていて、その一角は、一種異様な光景だった。


そこに、さらに、見舞いの病棟から戻って来た黒川が通り掛かる。


お互い、顔見知りのようで、軽く会釈をする。
二言三言、会話もあったようだ。
イツキは、あまりそちらを見ないように顔を背け、自分は関係がないという顔をする。
呼ばれて、紹介などされても、今はまだどうすれば良いのか解らない。




しばらくすると、黒川がイツキの傍に戻って来た。
多少不機嫌な顔で「…行くぞ」と声を掛け、地下の駐車場に向かうのだった。







posted by 白黒ぼたん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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