2018年03月05日








やたらと静かで明るい朝。
目が覚めたイツキは窓際に寄り、窓を開ける。外は、雪景色だった。




「……寒い…」

そう零したのは、黒川だった。
寝返りを打ち、窓を見る。

「……何故、窓を開けている…、馬鹿か…」
「マサヤ、雪だよ?」
「……閉めろよ、寒い」


まだ寝足りないといった様子の黒川はそう言い、毛布を肩口まで引き上げ、包まる。
珍しい都内での雪に情緒の欠片も感じないのかと、イツキは少しむくれ、窓をぴしゃりと閉める。


「すごいね、積もってそうだよ。電車とか、止まっちゃうかな?」
「……さあな…」


イツキは再びベッドに戻り、縁に座ると、黒川の顔を覗き込むようにして話す。


「道も、大変だよね。雪かき、しなくちゃかな…」
「街中で積もるかよ、すぐに溶ける」
「でも、道、凍っちゃうかもよ?滑りそう……」
「こんな雪で転ぶのは、ババアかお前ぐらいだろう。……くだらん…」
「………」



あまりに黒川の反応がつまらないので、イツキはもうそれ以上は何も言わず、ただ窓の外を眺めるだけにする。

このままずっと降り積もって、街も人も全てが、埋もれてしまってもいいのに、と思う。

そうすれば世界には、二人きり。この部屋だけが、世界の全てになる。







……いや、

この口の悪い男と二人きりはちょっと嫌だなぁ…と、イツキは考え直して、小さく笑うのだった。









ちょっと休憩〜。
二人でお布団に包まってるといいよ。
posted by 白黒ぼたん at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/182591859
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
林田と松田 by はるりん (10/19)
余計な揉め事 by ぼたん (10/18)
余計な揉め事 by はるりん (10/18)
甘い欲求 by ぼたん (10/17)
足りないイツキ by ぼたん (10/17)
甘い欲求 by はるりん (10/16)
足りないイツキ by はるりん (10/15)
誘惑・5 by ぼたん (10/13)
誘惑・5 by A (10/12)
誘惑・5 by はるりん (10/12)