2018年03月08日

鼻息、舌打ち







『…マサヤ?…俺、ちょっと出掛けて来る。…すぐ、そこ。知り合いとお茶』
「………ハァ?」



逢魔が時。黒川が事務所へ向かって少し経った頃、イツキから電話が入る。
レイプ事件があり、その犯人もおおよそ見当がついている中、一人で無暗に出歩くなと言い聞かせているのに。


「………馬鹿か。……また、フラフラと……」


黒川は言いかけて、言葉を探す。
フラフラ出歩いて、悪い奴らに捕まるぞ、とは……あまりに子供じみている。
心配だからと言って、四六時中一緒に居る訳にも行かない。どこに行くにも連れて歩くことなど出来ないし、そんな事をすれば

どれだけ、溺愛しているのだという話になる。


自分が危険な立場なのだと、イツキ自身も解っているだろう。
自分で、ある程度の責任と覚悟を持ってもらわなければ、この世界のココにいることは出来ない。


「………ふん。……まあ、気を付けろよ」
『うん。人がいっぱいのトコで普通にお茶するだけ。帰ったら、また連絡するから』


そう言って、電話は切れた。



黒川はふんと鼻息を鳴らし、ケータイをデスクに放り投げる。
そしてうっかり、イツキの茶飲み相手の名前を聞きそびれた事に気づき、小さく舌打ちする。



事務所の端の書棚に向かっていた一ノ宮が、何事かと、視線だけを寄越した。




posted by 白黒ぼたん at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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