2018年04月03日
黒川のヒミツ・4
「……何度か店に行くうちに、そんな事になってな…。持って行け、持って行けと煩くてな。……終いには、丁度いい頃合になると、取りに来いと催促まで来る。…ババアめ…」
翌日。
部屋に戻って来た黒川は、冷蔵庫のキムチを取り出し、忌々し気にそう言う。
タッパーを開け、指先で少し摘まみ、味見のようにぺろりと舐める。
イツキはもうソファに座り、グラスに、黒川の土産の日本酒を注いでいるところだった。
「マサヤにそんな仲良しさんがいたなんて、驚いちゃった。おばあちゃん、腰イタで病院なんだって」
「仲良しかよ、お節介なだけだろう。……まったく」
ふんと鼻息を鳴らし、黒川もソファに座る。それでも心底嫌そうな様子ではないのが解る。
……黒川にも、そんな部分があるのが、どこかくすぐったくて……、イツキはくすくすと笑う。
「……何だよ」
「…んー。別にー」
「……他に、リカコとは何か話したのか?」
「リカコ?……ああ、あのお姉さん。……えーと」
イツキは日本酒のグラスに口を付け、黒川をチラリと見上げる。
「……俺のこと、マサヤの子って、言ってた」
そう言って、思い出したように、またくすくすと笑う。
けれど、リカコと話をしたのは、それだけでは無かった。
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