2018年04月06日

ヒミツ・最終話








「……他に、リカコとは何か話したのか?」
「……俺のこと、マサヤの子って、言ってた」
「馬鹿か。……それだけか?」




日本酒のグラスに口を付け、視線だけ、ちらりと寄越すイツキに……何か感じるところがあったのか、黒川が再度尋ねる。
イツキは、「……んー?」と呑気な声をあげるだけで、何も言わない。



おそらく、料理屋の裏のアパートには、黒川の部屋があるのだろう。
車は、自ら運転して移動することもあれば、どこぞに置いて来ることもある。
事務所の駐車場や二人のマンションの駐車場…、その都度、どこに停めているのか、イツキも気にした事は無かった。




別に、黒川のような男が、他に部屋を持っていたとしても不思議ではない。
そこに、誰か……他の恋人を囲っていたとしても、……無い話ではないだろう。
それでもその近辺にイツキを行かせたとなれば、隠す話でもないのか。



黒川にすれば、あえて話しはしないが、という程度の話。
イツキにすれば、黒川が話さないヒミツを一つ知ったという事が、なんとなく楽しい。





「……そう言えば、キムチ、浸かりすぎちゃったかもって…言ってた」
「…確かにな…」





酒のアテにと皿に出したキムチを、また指で摘まんで
黒川は、ふふと、鼻で笑った。







posted by 白黒ぼたん at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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