2018年04月12日

みだれ髪








「……なるべく早く、帰る。……それまで部屋から出るな。……そんな、垂れ流しで人前に出てみろ、すぐに、ヤられるぞ……」
「………ヤッたのは、……マサヤじゃん……」



どうにか手短に終わらせて、黒川はトイレでも行った後のように、カチャカチャとズボンとベルトを直す。
イツキは床にぺたんと座り込み、少し恨みがましい顔をして、黒川を見上げる。

確かにヤケ酒を煽り、黒川に愚痴の一つでも零そうかとは思っていたが……
……それでもこんな風に、抱かれるつもりでは無かった。




別に、嫌では、無いけど。




「……夜には、帰る?」
「なるべくな。…鍵、掛けろよ」



情にほだされ、イツキを抱かずにいられなかった自分が、多少滑稽で、照れ臭くて。
黒川は今度は顔も見せずに、慌ただしく部屋を出て行くのだった。













「…社長。…何かあったんですか? 書類に不備でも…?、ああ、俺もこの間、ハンコが無くて大慌てした事があって……」

予定の時間を大幅に過ぎて、黒川は西崎の車に乗り込む。
西崎はミラー越しに黒川の様子を見遣り、真面目に、仕事の心配をしていたのだが、


少し乱れた髪と、緩んだネクタイを見て、直感で、『イツキだな』と、思った。







posted by 白黒ぼたん at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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