2018年05月11日

予想通り







「……ん?……どういう事かな?」
「……だから、……何か、……目的が…あって………」
「目的も何も。……キミが、可哀想な目に遭っていたから、でしょ?」



男は薄ら笑みを浮かべながら、上辺は優しく、イツキを介抱している。
それでも密着した身体は離れる事はないし、重ねている手は、指先だけ芋虫のようにもぞもぞと動き、イツキに小さな刺激を与え続ける。

男の指先も体温も、耳元で、囁くような声も、ともすれば耳たぶを舐められそうな気配も。

何もかもが、………感じてしまう。

そんなイツキの状況を、男は明らかに楽しんでいる。



「ああ。思い出した」
「……えっ」
「病院で会ったよね、御茶ノ水の。……カワイイ子だから、覚えているよ」
「…………違う、そんなんじゃ…、なくて……!」

「なくて?………他に、……私と、……どこで会ったかなぁ……?」




なかなか核心に辿り着かない、まどろっこしい会話。
業を煮やしたイツキは、つい、熱くなってしまう。
熱くなって、冷静な判断が出来なくなることが、相手の狙いだというのに。






「………おいで」





突然、男はイツキの手を引いて、立ち上がる。
振り解こうにも、男に本気になられては、太刀打ちは出来ない。

もとい、力の入らない身体。ふらつく、足取り。
このままどうしたって、なるようにしかならないのだと…、半分、諦め
半分は、…………これで、疼く身体が楽になるのかもと、思い。


引き摺られるようにホームを抜け、階段を下り

大方の予想通り、多機能トイレへと、連れ込まれる。






posted by 白黒ぼたん at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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