2018年05月14日
裏目
男は、イツキの中に挿れていた指を一度大きく掻き回し、そして、未練たっぷりに引き抜く。
イツキは身を強張らせるも、無くなってしまった感触を追う様に、腰が勝手にヒクつく。
抜いた指を、男はイツキの顔で拭くように擦り付ける。
独特な臭いが鼻につき、それがさらに、神経をおかしくさせるようだ。
「……続き、……したいでしょ?」
男はそのままイツキの顎を掴むようにし、イツキの顔を自分に向けさせる。
自分を睨んではいるものの、その目は怯え、涙ぐみ、湿った赤い唇からは、はあはあと短い吐息が洩れている。
膿のように溜まった欲情が、今にもぱちんと弾け、溢れ出しそうになっているのが、解る。
その趣味のある者には、イツキは格好の獲物なのだ。
「………おれと…、……こうして、……なんかに、する…気?」
「………何って?」
「……池袋で、何か…、………悪い事してる人、でしょ?」
「悪い事か、…ははは。………キミを囲っているヤツ程じゃ無い……」
話ながら男は、少しお喋りが過ぎると思っていた。
実際イツキは、どうにか残っていた理性を掻き集め、男の正体を探っていた。
小芝居を打ち時間を使ってしまったことが、裏目に出たようだ。
「………それを知ってて、おれに…こんなコトしちゃ、駄目……でしょ?
………駄目だから、………してるんだろうけど………」
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