2018年05月19日

代案









『……勝手にしろ』



そう言って、電話は切れて、イツキは少し途方に暮れた。

多分、黒川は来る。……来るとは思うけれど、もし来なかったら、どうしようか。







もう、一人で歩く気力は無かった。
身体も、ココロも、大したダメージは負っていないようだったが、手がずっと震えていて力が入らない。
黒川が来てくれなかったら、佐野でも呼ぼうか。……それとも、ミツオか。
おそらく、優しい声を掛けてくれるし、慰めてもくれる。
その後に、する事になるだろうけど、まあそれも、仕方ないと思う。

最悪、誰も迎えに来れないようなら、
救護室の隅でこちらを心配そうに伺っている、駅の係員でもいいや、と思う。
泣きついて、抱き付けば、とりあえずどうにかなるかな…と、

イツキは、係員に向かい視線を流し、小さくニコリと笑った。






「おい」
「………あ」



呼ばれて、振り返ると、扉を開けて黒川が入って来たところだった。
不機嫌そうに煙草をふかし、舌打ちし、誰彼構わず睨み付ける。

イツキは、勢い、立ち上がり、黒川の元へ駆け寄る。

黒川は文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけたのだが
腕にしがみつくイツキがぽろぽろと涙を零すので、ふん、と鼻息だけ鳴らし、イツキを連れて帰るのだった。







posted by 白黒ぼたん at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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