2018年05月22日

男の感触








特別、印象深いオトコ、という感じではない。


歳は30代…前半といったところか。
背は黒川よりも少し低いくらい。どちらかと言えば細身、でも筋肉質。
顔もやや面長。目尻の下がった大きな目。すっと通った鼻筋。穏やかに結ばれた唇。

一見すると普通の人のよう。笑うと顔がくしゃりとして、優しそう。
実際、痴漢にあったイツキを介抱したのが、自作自演の芝居ではなく、……本当の出来事なのだとしたら……、なんと優しい人物なのかと思う。

それでも、それは違う。
心配を装い、自分を覗き込むその目の奥は、暗い。
光を全てのみ込み、引きずり込まれてしまいそうな、怖さ。






血管が浮く、筋張った長い手指が、素肌を這う。


艶のある低い声が耳に残る。









「………マサヤ」
「…何だ?」
「………して」


湯船の中で身をくねらせて、イツキは黒川に擦り寄る。
もとより、しない選択肢は無いのだけど、イツキが自分から言い出すことは珍しい。



「なんだよ。……弄られて、盛りがついたのか」
「……そうだよ」




身体に残る、男の感触を早く忘れてしまいたくて、
イツキは、黒川の腕に、しがみついた。






posted by 白黒ぼたん at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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