2018年06月04日

クラブ「フェリーチェ」








笠原は縄張りとしている街の一角に、クラブを所有し、そこを活動の拠点としていた。
表向きは普通の、綺麗な女性を並べた、華やかな店だったが
店の奥には賭けポーカーや麻雀などいわゆる…違法な賭博をさせる、会員制の個室があった。



「……カシラ。野田鉄筋の社長、どうします?…ずい分、負けが込んでますぜ?」
「ああ、あれはもう駄目だな。…さっさと回収しないと、飛ぶな……」



事務所で。数台の監視カメラのモニターを覗きながら、笠原は手下の男とそんな話をする。
少額から始めた博打が当たるのは最初の内だけ。やがて額はかさみ、借りた金は底をつき、それを補うためにとさらに金を借り、イチかバチかの勝負に出る。
そうやって、ほどなく首が回らなくなり、客は家も会社も失うことになる。


「……工場の土地、銀行が来る前に、押さえておけよ」


そう言って、笠原は笑った。







部屋の内線が鳴り、手下の男が出る。
すぐに表情は曇り、監視カメラを操作するパソコンを弄る。



「……カシラ。……「フェリーチェ」に怪しい客が来ているようですぜ?」
「……誰だ…?」




切り替えたモニター画面には、クラブのバーカウンターに座る、明らかに一般客とは違う様子の男が映っていた。
連絡によれば入り口のボーイを半ば押し切り、店内に入って来たようだ。
眼光鋭く、威圧感のある佇まい。おそらく同業者だと思われる。



「………おやおや、そう来ましたか…」



それは、笠原が知っている男だった。









posted by 白黒ぼたん at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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