2018年06月11日

気に入らない男









黒川が帰り、事務室に戻った笠原は、憮然とした顔でソファに座り足をテーブルに投げ出す。
…騒ぎも、暴れもしない…、ただ静かに上から威圧する態度が、気に入らない。
未遂とはいえ身内の男娼に手を出したのだ。…そして、おそらく、その前の拉致強姦も、こちらの仕業と解っているのだろう。

激怒し、正面から乗り込んで来るのなら、それ相応の出方もあるのだが
…どうにも。…ともかく、気に入らない。



「…はは。オンナを寝取られたって言うのに、あの程度ですか。
賭場を荒らす度胸も無い。…大した男じゃないですね」


事務室にいた手下が軽口を叩く。笠原はそれを、睨む。
大体、賭博場を隠すこの店を知っていたのも、気に入らない。

『人の場所に立ち入らない』と言うのは、『自分の場所にも立ち入るな』と言う事だろう。
さらには、それを荒らす気になれば、いつでもそう出来る…とでも言いたいのか。








「………カシラ…」

事務所の隅でパソコンを触っていた別の手下が、恐る恐る声を掛ける。

「…何だ」
「………その、………野田鉄筋なんですが…」
「ああ?……自殺でもしたのか? …相続で揉められたら面倒だ、早く、土地を……」
「…その土地が、もう、別名義に替わっています」



借金のカタに押さえるはずだった土地が、すでに持ち主の手から離れたと聞き
笠原は、手下と一緒になって、パソコンの画面を覗く。






その土地の名義には「黒川興業」と記されていた。









posted by 白黒ぼたん at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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