2018年06月13日

ひねくれ者







真夜中、黒川は部屋に戻る。
酔い覚ましの水を一杯飲み、寝室に入る。
ベッドに眠るイツキの身体を、壁側に押し退け、空いたスペースに潜り込む。

おもむろに、イツキの髪を触る。

風呂上がりで濡れたまま……、では、無いようだ。




「………ん…、マサヤ…、………おかえり」
「…ああ」
「……遅かった。……おれ、…ご飯、……待ってたのに……」


半分、寝ぼけた様子。


「佐野と、遊んで来たんだろう?……メシぐらい、勝手に食って来いよ…」
「………遊んでないよ?」
「ヤっただけか。……ふふ、遊びの内にも入らないか……」



黒川の軽口に、イツキは…しばらく無反応だったものの、突然、はっと目を開ける。
薄い常夜灯がともる部屋の中。お互いの表情ぐらいは、はっきりと解る。


「俺、ヤってないよ?……誘われたけど、ちゃんと、断ったよ?」
「はい、はい」
「本当だよ?……だいたい、佐野っち呼んだの、マサヤでしょ?……何、それ?……した方が良かったってこと?」



確かに、際のキワまで怪しい雰囲気にはなったのだけど、寸での所でイツキは拒み、何事もなく部屋に帰って来ていたのだ。
……そうだと、決めつけて掛かる黒川に、腹を立てるのも当然だった。


「……マサヤ!」
「ああ、嘘だよ」





ふいに手を伸ばし、黒川はイツキを抱き締める。
わざと怒らせ、ムキになって言い応えするところが見たい…などと、ひねくれ者のする事。




「喧嘩したい訳じゃない。言ってみたかっただけだ、怒るなよ。………イツキ」





黒川は、イツキの耳たぶを噛みながら、そう言った。






posted by 白黒ぼたん at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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