2018年06月15日

小話「写真」










ある日イツキは一人、事務所の用事を託っていた。
用事と言っても簡単なもので
溜まった新聞紙を束ね、雑誌を束ね、ビールの空き缶を潰し、まとめ
流し台とトイレを掃除し、ヤニのついた窓ガラスを拭く…


「…………」


家政婦かよ、と愚痴を零す事すら通り過ぎ、呆れ
それでも黙々と、片付けものをしていた。





ガサリと、古新聞の山が崩れ、中から大きめの封筒が出て来る。
拾い、何気に中を覗くと、そこには写真が何枚か入っていた。


自分が男に抱かれている、写真だった。






コトの最中に、写真を撮られることは、まあ……ある。
後から見せられたり、脅しの材料に使われたり、知らないトコロで出回っていたりと…イロイロだ。
黒川の手元に来るものも、あるだろう。黒川がどんな様子で、それを眺めているのかは知らないけれど。

ゴミの山の中に紛れているのなら、見て、思い出したくもないものなのか…
それとも本当に、どうでもよいものなのか。




「……ふーん」


イツキは仕事の手を止めて、自分の写真を眺める。
よくもまあ、こんな体勢がとれるものだと思う。
後ろから撮られたものなどは、普段、自分が見ることが出来ない場所なので…新鮮に驚く。
眉間にシワを寄せ、涙とヨダレで顔をぐちゃぐちゃにしている写真は、嫌がっているのかヨがっているのか…区別がつかなかった。





これ以上、見ていると
思い出して、身体が変になりそうだったので、
写真は封筒の中に入れ
ゴミの山に、戻して置いた。






posted by 白黒ぼたん at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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