2018年07月05日

残業黒川








「ただいま」




そう言ってイツキが帰って来たのは、黒川の事務所だった。
事務所には、まだ仕事が終わらない黒川が一人。




「……なんだよ。佐野に送って貰ったんだろ?……部屋に帰ればいいだろう」
「……なんか、独りになりたくなくて……」
「は。…男と遊んで来たくせに……まだ足りないのか?」




黒川のいつもの軽口を尻目に、イツキはソファに向かう。
靴を脱ぎ、ソファに寝転ぶ。

黒川は飲みかけのビールを煽り、面倒臭そうに溜息を付き、残りの仕事を片付ける。



カタカタと、パソコンのキーボードを叩く音だけが、響く。










『…お前さ、あいつと…、………した?』
『………どうかな……』



イツキは、そう答えた時の、佐野の驚いた顔を思い出す。
勿論、佐野が考えるような、身体の関係は無い。

それでも、梶原とはもっと深い部分で関り、繋がっていたような気がする。
それが嬉しかった分だけ、離れてしまうのは、寂しい。








「……寝たのかよ?……呑気な奴…」



気が付けばイツキはソファで、小さな寝息を立てていた。
呆れた黒川は小言を零し、鼻で笑った。





posted by 白黒ぼたん at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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