2018年07月21日

図書室








図書室に行くと大野がいた。
大野と、向かい合って二人きりになるのも、久しぶりな気がした。


「……あ、学校、決まったんでしょ。おめでとう」
「それだけかよ?…俺とはデートは無し?」
「……え、あ、……いいけど、する?」
「はは。うそうそ」


イツキと梶原が出掛けた事を知っていた大野は、そう言って軽く笑う。
羨ましくない訳ではないが、欲しいのは、そんなものではない。

徐にイツキは、ポケットから鍵を取り出し、大野に差し出す。


「これ。…ここの鍵。俺、ずっと持っちゃってた…」
「ああ。お前しょちゅう授業サボって、ここで居眠りしてたよな…」
「うん。……ここ、居心地良くて、好きだった…」


図書室横の資料室は、大野とイツキの隠れ家だった。
合鍵を預かっていたイツキは本当に良く入り浸り、足りない睡眠と休息を、補っていた。


窓側に置かれた、古い、長椅子。
ここで眠っていたイツキに、大野は、キスをした事がある。




「……なあ、イツキ」
「…ん?」
「俺の合格祝い。……一つ、お願いしてもいい?」
「ん?…なに?」



イツキはニコリと笑って、窓側の長椅子に腰をおろした。







posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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