2018年08月06日
週末熱海夜話・6
プールの隣には、水着のまま利用するスパエリアがあり
1500メートルを泳ぎ切った三人は、そこで一息ついていた。
イツキは、まあまあ普通。
梶原と大野は疲れたようで、今にも沈みそうに肩までどっぷり湯に浸かる。
「………いや、マジ……、無理……。……ガチすぎる…」
「…別に、競争した訳じゃないじゃん…」
「…そうだけど、……追いつけないなんて……無いわ。……オマエ、スイミング、やってたの?」
「……んー。……小学校のとき、とか、だよ…」
イツキに追いつくことが出来なかったのが余程悔しいようで、大野がそう零す。
イツキは、小学生の時分にスイミングスクールに通っていて、それは地方の大会に出る程の実力だったらしい。
その話を知っていた梶原は、うんうんと頷きながら、両手で湯をすくい顔をバシャバシャとやる。
「早いのもそうだけど、やっぱ、泳ぎ、キレイだな。…すげぇな」
「……そんな事、ないよ……」
「意外と、筋肉あるのかな?…でも、腕とか、細いよな…」
「……そんなこと、ない。……俺、先、出るね……」
うっかり本気で泳いでしまった事が、恥ずかしいのか、何なのか、イツキは湯船から出て足早に更衣室へ向かってしまった。
……梶原も大野も口にこそしなかったが、ほぼ全裸のイツキの身体は、綺麗だった。
すらりとした手足。ほどよく筋肉がついた、身体。
きめの細かい白い素肌。水が滴る前髪をかき上げる仕草も。
…そして改めて、…身体中のムダ毛が無い事に、気が付いてしまった。
湯船に残った梶原と大野は、二人、静かに目配せして…
何とも言えない微妙な笑みを浮かべるのだった。
更衣室に戻ったイツキは、バスタオルで髪の毛を拭く。
そのせいで、解らなかったのだけど、物陰からずっとイツキの事を見ている、男がいた。
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