2018年08月08日

週末熱海夜話・7









予約の時間にレストランに行くと、もうテーブルには食事が用意されていた。
豪華な船盛の刺身、上品に盛られた天婦羅、分厚いステーキは卓上コンロの上で湯気を立てていて。
およそ、高校生の夕食にしては、贅沢過ぎるものだった。



「……スゲー、やべぇ…、食べきれるかな…」

と、喜びながらも梶原は心配になるのだが
意外とイツキは平気な顔で、大海老の天婦羅に抹茶塩をパラリとやっていた。


「……イツキ、この後、……行くんだろ?」
「ん。……本館の方で、何か、パーティーがあるらしくて…、顔、出してくる…」
「あの人、来てんの?……黒川さん…」
「…んー…、……解んない……」


海老のしっぽを咥えながら、イツキはそう言う。
黒川が来ているかどうかは…、実際、イツキにもまだ解らないのだ。
あまりに連絡が無さ過ぎて、このまま、実は用事も何も、オシャカになってしまえばいいのにと思う。


「……そっか。……な、後で露天風呂、行くだろ?イツキ」
「…多分。…でも、梶原たちは先に行ってていいよ。俺、時間、読めないし…」
「…そっか。風呂さ、いつでも入れるみたいだぜ?。朝、日の出とか見てもいいな」

「……どんだけ風呂推しだよ、テル。ハダカの付き合い、しちゃう気か?…これ以上!?」


イツキと梶原の会話に、冗談めかして大野が突っ込み、三人で笑う。
笑ながらイツキは、……少し…、……杞憂する。








パーティーが、まるで心配が無い、訳ではない。
それに比べれば、さっきプールの更衣室で見知らぬ男に

『泳ぎ、上手だね。……とても、綺麗だったよ』

と、囁かれたことなど、些細な問題だった。







posted by 白黒ぼたん at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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