2018年08月09日

週末熱海夜話・8







食後のデザートを泣く泣く諦め、イツキは一人、客室に戻る。
わざわざ、いつもの黒いスーツに着替えるのは、やはり…気持ちを切り替えるため。
この服を着ると、イツキは…ある程度のことなら、何でも平気で出来る…ような気がしていた。

良くも、悪くも。







地元企業の創立記念パーティーには、その従業員や家族なども招待されており、イツキぐらいの年の子が紛れ込んでいても、まあ、不自然では無かった。
立食スタイルのフランクな会場。
それでも上座の一角には、企業の役員らしい人物や、胸もとに花を付けた招待客がいて、近寄りがたい雰囲気にはなっていた。



とりあえずイツキは、何食わぬ顔をしてその一角の、本当にすぐ近くまで寄る、
ボーイが運ぶマティーニを一つ貰い、グラスに口を付けながら、あたりをそっと伺う。
……黒川の姿は、まだ、見当たらない。





ピコンと着信が鳴る。


『山野辺は招待客の中の、緑のネクタイ。途中でスピーチがあって、その後、脇の控室に戻るから、そこを狙え。隠し撮りのカメラがある』




黒川からのメッセージを読みながら、イツキは、小さく溜息を付く。
さて、この短時間で、何をどう狙えというのか…。



「……マサヤ、スパイ映画の見過ぎじゃん?……ふふ」



イツキは軽く笑って、残りのマティーニを一気に飲み干した






posted by 白黒ぼたん at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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