2018年08月10日
週末熱海夜話・9
スピーチまではまだ間があるようで
イツキは取りあえず男を見つめながら、カクテルを飲む。
暫くするとさすがに向こうも気付き、面識はないはずなのに仕事柄か、笑顔で会釈などしてくる。
イツキも、ニコリと笑う。
ついでにカクテルを零してしまったのは、多分、本当の偶然。
やがてパーティーも進み、男も壇上に上がり、挨拶をする。
どうやら地元の代議士先生のようだと、この時始めて知る。
短いスピーチが終わり、袖から捌け、控室に消えた。
「……おつかれさまです」
男が控室に入ると、すでに、そこに、イツキは居た。
「……ええと。……キミ、ここのスタッフさん?」
質問に、イツキは微笑み、首を横に振る。
「……どこかでお会いした事、あったかな?」
「……いいえ。……ちょっと、お話出来たらと……、思って……」
思わせぶりな言葉と、表情。
おそらく、こんな手を仕掛ける以上、男もその趣味があると調べはついているのだろう。
例え、そうではなくとも、この状態のイツキに間近に迫られ、上目遣いで見つめられては…
マトモな頭も、オカシクなってくる。
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