2018年08月15日
週末熱海夜話・11
「……ちょっ……と、ま…って…、………」
「……キミが……、誘うから……、……キミが……」
「……んー……、………違くて………」
興奮した男は鼻息も荒く、イツキを抱き締める。意外と力が強い。
首筋を舐め、そのまま顔を舐め、唇を舐め。
イツキが両手で男の顔を押し退ける隙に、身体をさらに寄せ、腰を打ち付けてくる。
「……キミが悪いんだよ……」
「………センセ。……こんなトコじゃ、や…、……駄目…だって………ばっ」
思わず声を荒げ、男を蹴飛ばそうとした瞬間
……入り口の扉が開き、人が入って来た。
男は咄嗟に我に返ったようで、慌てて、目の前のイツキの身体を突き飛ばす。
「……山野辺先生?……どうかされましたか?」
「…い、いやっ……なんでもないよ」
「お戻りが遅かったので…。あちらで皆様お待ちですよ?………この子は?」
「知らんよ!…私は、知らんよ!」
…男は取り繕い、イツキを振り返りもせず足早に部屋を出て行く。
一瞬でも色香に迷い、自分が取った行動が、自分でも信じられないといった様子だった。
残されたイツキは呆気に取られていたが、ともあれどうにか、用事は済んだらしい。
後から入って来た男にペコリと頭をさげ、自分も部屋を出ようとする。
それでも、イツキが窮地に立たされるのは、これからが本番だった。
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