2018年08月16日
週末熱海夜話・12
二番目の男は一番目の男よりも乱暴で強引で手練れだった。
脇を通り抜けようとするイツキの腕を掴み、ドンと壁際に押しやり、とりあえず唇を合わせる。
「……ッ、……や…っ……」
顎を掴まれ、無理やり口を開かされ、深いキスをする。
当然イツキは抵抗し、男のあちこちを叩いたり髪の毛を引っ張ったりするのだが、意味はない。
「……やっぱり、……そういう子だったんだ?……ふふ、僕とも、楽しもうよ……」
そう、ささやく男をイツキは見上げ、睨み付ける。
……それは先刻、プールの更衣室で、イツキに声を掛けて来た男。
どうやらパーティーの招待客で、山野辺の知人。
しかも、相当遊び慣れた様子。
片手でイツキの腕を束ね、身体を寄せ、体重を掛け動きを封じ、脚や腰を、イツキの敏感な部分に擦りつけて来る。
「……ちが…う。………ふざけんな……、……離せ…バカ…ッ」
イツキにすれば精一杯の悪態をつき、男から逃れようと身体を捩る。
けれど逆にバランスを失う。
それと同時に男はイツキの脚を蹴飛ばし、
イツキはその場に、腰を落としてしまう。
「………あっ……」
シャツの隙間に、手を差し入れられる。
……山野辺との小芝居の時に、外していたボタン。
男の手はするりと中に入り、イツキの乳首を見つける。
爪先で引っ掻かれると、思わず、声が出てしまった。
「……可愛い声だね」
男はイツキの耳をべろりと舐めながら、そう言う。
耳は、駄目だった。
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