2018年08月17日

週末熱海夜話・13








部屋でくつろいでいた梶原のケータイにイツキから連絡が入る。



「終わったって?」
「…あー、終わって、そのまま風呂入って来るって…。先、寝ててもいいって…」
「ふーん」


大野も画面をのぞき込んで、鼻で返事をする。
すでに自分たちも風呂に入り、浴衣姿。ベッドの上で暇つぶしの将棋を指していた。


「…長引いたんかな?…どうする?寝るにはまだ早いか…」
「俺、もう一回風呂、行こうかな…」
「はー?どんだけ風呂好きだよー」


呆れたように大野がそう言う。勿論、好きなのは風呂なのではなく。
…けれど、風呂と言っても、このホテルには数か所ある。
大浴場か、露天風呂か、魚も泳ぐ戦国風呂か…
イツキに確認するのも、その一つ一つを回って確かめるのも、少しやり過ぎな気がして…
仕方なく梶原は、大野との将棋勝負に戻るのだった。







梶原に連絡を入れ、イツキはふうと溜息を付く。
この、黒いスーツを着ている姿も、事の後の濡れた身体も見られたくはない。
幸い、この風呂場は小さいためか、イツキ以外の客もいない。
洗い場で手早く身体を洗い、湯につかる。
露天風呂ではないが壁一面の窓は開放されていて、夜風が、心地よい。





うっかり、
見ず知らずの男と、ヤッてしまった。
途中から、逆らうのも面倒になって…、早く終わるのならばと…、…つい。

自分の身体の緩さに腹が立つ。

けれど、腹を立てる相手は、もう一人いた。





posted by 白黒ぼたん at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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