2018年09月05日

イツキの提案







「…珍しいな、…一人、か?」




学校帰り。
校門の外で、梶原のちょっとした用事を待つ間、声を掛けられた。
一瞬、ドキリとして…振り返るのもためらったのだが…、恐る恐る顔を向ける。




「………なんだ。……清水先輩…か…」
「なんだ、って何だよ」

そこに立っていたのは清水で、イツキのつれない返事に苦笑いを浮かべる。

「…俺に挨拶も無しで帰っちゃうワケ?…もう、ガッコーに来る日も残り少ないのにさ」
「あ。………そんなつもりじゃ……」
「…なんて、な。……な、どこか行こうぜ。たまには……」

「イツキは俺とメシに行くんです」


清水が前のめりになってイツキを口説き始めた時、戻って来た梶原が声を掛ける。
二人の間に身体を割り込ませて、距離を開ける。
明らか不機嫌顔で清水を見上げる様子は、まるでオモチャを取られそうになった子供のよう。
どこか余裕の笑みを浮かべる清水と、火花を散らす。


「…そういや、梶原。大学受かったんだってな、オメデト」
「……ありがとうございます」
「お祝いがてら、イツキ、譲ってよ」
「どうして、そういう事になるんですか。…無理っす!」


「…あー、じゃあ、……三人でご飯、行く?」



イツキの提案に、梶原と清水は顔を見合わせ、お互い、そんな馬鹿な事は無いだろうと、イツキを見遣る。
それでもイツキの笑顔には敵わない。


結局は、イツキの提案通りにしてしまうのだった。



posted by 白黒ぼたん at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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