2018年09月06日

最初で最後の







駅前の焼肉屋に三人で行った。
当然、梶原は不満顔。清水も本当はイツキと二人きりで、小洒落たクラブにでも行きたかったのだけど…、まあ仕方がない。

イツキは、始終ニコニコ微笑み、楽しそうだった。
ビールが飲みたいと愚痴を零しながらも、制服姿ではそれも無理で。
肉を裏返し、骨付きカルビにハサミを入れ、黒く焦げた炭のようなものを梶原の小皿に入れ、清水にウーロン茶を勧め、
結局、三人とも意外と楽しくて、声を上げて笑った。

こんな時間を過ごすのも、もう最後なのかも知れない、と。

思ってはいても、気恥ずかしくて、誰も口にすることは出来なかった。






店を出るとイツキは、『楽しかったね、じゃあね、バイバイ』と手を振る。
これ以上一緒にいては名残り惜しくなると思ったのか、そんな事はまるで気にせず、早く部屋に戻ってビールを煽りたかったのか。

とにかく、さっくり二人と別れ、イツキは一人、タクシー乗り場に向かった。




「……えーと。…じゃあ、お疲れ様…」


梶原と清水は最後にそう挨拶して、最初で最後の焼肉はお開きとなった。







楽しくて、でも、どこか…寂しくて…、イツキは良く解らないフワフワした気持ちでタクシー乗り場に並ぶ。
こんな気持ちは正直…感じたことがなくて、戸惑う。


「……一人?……どこか、行こうか?」


と、後ろから声を掛けられても、しばらくは、本当に気が付かないほどだった。






posted by 白黒ぼたん at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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