2018年09月08日

アンバランス







「……ここ?」
「…ここ、なら…いいです」
「ふぅん。…まあ、いいよ」



イツキと笠原が訪れたのは、駅前の普通の、ファストフード店だった。
イツキが、自分が店を決められるのなら、行ってもいいと言ったのだ。

夕方の時間を過ぎていても、まだ賑やかな店内。
こんな場所でなら、そう間違いは起きないだろうと…、イツキは思う。

どのみち、断れば、無理やり拉致車に乗せられてしまうのだ。
イツキは腹をくくり、笠原と対峙する。


奥の隅のテーブル席に着く。

笠原はアイスコーヒーを二つ買い、イツキに渡す。
イツキはつい、「…ありがとうございます」と言ってしまい、失笑を買う。



「やっぱり、キミ、面白いね」
「……お話って、何ですか…」
「オカベイツキ君。高校生?それ、学校の制服?」
「……池袋の、笠原さん。俺に、何の用ですか?」



イツキはなるべくクールに、低く抑揚のない声でしゃべり、笠原を睨む。
その様子と、コーヒーのストローを手で支える様に持ち口を近づける仕草がアンバランスで、可笑しい。


この子供は、自分がいくつもの顔を見せている事に気付いていないのか。
セックスの時もそうだ。生娘のような恥じらいを見せたかと思えば、どんな熟達の娼婦よりもいやらしく男を誘う。


見ていて、飽きない。






「……俺の女になれよ。……いい思いさせてやるよ? あのおっさんより」






posted by 白黒ぼたん at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184372382
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
足りないイツキ by はるりん (10/15)
誘惑・5 by ぼたん (10/13)
誘惑・5 by A (10/12)
誘惑・5 by はるりん (10/12)
誘惑・3 by ぼたん (10/11)
誘惑・3 by はるりん (10/10)
誘惑・2 by ぼたん (10/09)
誘惑・2 by はるりん (10/09)
一応、冗談 by ぼたん (10/04)
一応、冗談 by はるりん (10/03)