2018年09月10日

思惑







勿論、笠原とて、一度や二度抱いただけのイツキを、本気で愛した訳では無かった。
組内で対立する円城寺への、攻撃材料の一つにでもなればと、イツキに目を付けた。
円城寺の身内の黒川。その黒川が囲っている、未成年の男娼。
お互い裏の世界にいる以上、細かな犯罪を上げ連ねても意味はないが…、まあ、何かのネタにはなるだろう。
からかい半分、余興のつもりで、手を出した。

少し、遊びが過ぎたか、思った以上に黒川が噛み付いて来た。
それだけ、この男娼を気に入っているのか。恋人のように扱っているというのも、あながち嘘ではないのかも知れない。
単純に、酷い目に遭わせてもいい。
もしくは自分になびかせ、黒川から寝取れば、見ものだ。

組に属さず、一匹狼…気取りの男。
今は円城寺の後ろに控えているが、事が起きれば必ず、自分の障害となる男。
その時に、かつての恋人が、敵方の自分の元に居れば、さぞ小気味が良いだろう。








「…俺の女になれよ。……いい思いさせてやるよ? あのおっさんより」
「………おっさん。………それ、マサヤの事?」
「…あ?……ああ。年甲斐もなく高校生に手を出す助平オヤジ……」



寝取り、弄び、捨ててしまえと……その程度に思っていた子供だったが……
……どうにも、様子がおかしい。




「……笑い過ぎじゃない?」




よほど『おっさん』呼ばわりがツボだったのか、
イツキは口元を押さえ、こみ上げる笑いを堪えるも……どうにも、肩が震えてしまう。



「…だって、…マサヤの事、おっさんなんて…、言う人、いないし……」
「実際、そう…でしょ? ……キミと幾つ離れているの?」
「……まあ、……そう言われれば、そうだけど……」



イツキはアイスコーヒーのストローを咥えながら、考える様に視線を逸らし……
少ししてから、慌てて、今はそれどころではないと、姿勢を正す。
笠原と視線が合うと、怒っているのだという風に真顔になり唇を尖らせ、
『…そんなお話、あり得ません…!』と、語気を強めて言い放つ。



その姿に、今度は、笠原の笑いが止まらなくなった。






posted by 白黒ぼたん at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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