2018年09月11日

攻防








「………笑い過ぎじゃないですか…?」


『俺の女になれ』発言に、断ったら断ったで、…何故か笠原は下を向き、肩を震わせ…、くっく…と笑いを堪えている様子。
イツキには、どうしてそうなるのか、一向に解らない。



「……とにかく!……あり得ません。……もう、俺に関わらないで下さい!」
「関わるって?…どんな風に?」

「…後、付け回したり、ずっと見張ってたり…。……全部、あなたの企みなんでしょ?
最初から、全部。全部。
……何、されたって、俺、……何も、変わりよ?……何も…」



語尾を濁らせてしまうのは、イツキにも今一つ、自信がないためか。
顔色を曇らせ、視線を逸らせ…、……それでも凛と前を向き、笠原を睨む。





「…イツキ」






名前を呼ばれて、イツキは一瞬、ドキリとする。
声は、…あの、最初の拉致強姦の時に聞いた声。…甘くて艶のある、少し低い、耳に残る声。


笠原は身を乗り出し、コーヒーのカップを持つイツキの手に、自分の手を重ねる。
重ねながら、中指だけを、微かに動かす。……テーブルの下で足が、ずっと、擦れ合っていることにも、気付いている。


間合いの間、うっかり、笠原を見てしまう。
歳はおそらく、30半ば…。気力も体力も充実した男盛り、という所か。
少し、目尻の下がった、優し気な顔。言われなければ、その筋の男とは、解らないかも知れない。

癖のある髪の毛が、額に掛かる。
時折、長い手指で、髪の毛を掻き上げる仕草が…、妙に印象に残る。





「とりあえずさ、……もう一度、しよっか?……イロイロ。
………確かめ、…たいよね?……カラダの相性、とか、さ……?


すごく、……良かった、………でしょ?」







posted by 白黒ぼたん at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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