2018年09月21日

近い吐息








イツキはスマホを耳に押し当てて、無言の黒川の様子を探る。
怒っているのか、呆れているのか。少しするとカチカチと、ライターを点ける音がした。


『………馬鹿馬鹿しい。……お前、何て答えたんだ?』
「……んー、……ふふ。……断ったけどね…」
『……ふん』


黒川は鼻息をつく。煙草を吸い始めたのだろう、ふうと紫煙を吐く音もする。
イツキは咄嗟に、……ああ、灰皿は流しに……、と思い、そして、それは、今は必要がない事に気付く。




「…それだけだよ。じゃあね、マサヤ。……いつ、帰ってくる?」
『明日の夜だ』
「お土産に、シウマイね。真空パックのじゃないよ?」
『ああ』


また、ふうと紫煙を吐く音。それとも、溜息なのか。
そろそろ考えるのも面倒になったので、イツキは電話を切ろうとする。





『…イツキ』
「…ん?」


一瞬、耳元から離したスマホを、もう一度、押し当てる。




『…俺が帰るまで、部屋にいろ。外に、出るな』
「……なんで?……俺のこと心配?…」
『ああ』



二つ返事で真っ当な答えが返り、イツキは少し、驚く。
余計な揉め事を起こすな、だの、すぐヤられるのがお前の仕事、だの…今夜は、そんな事は言わないらしい。






『笠原には次の会食で、直接、話す。……イツキは俺の女だ、と。何をしても無駄だと。
だから、お前もそれまで、大人しくしていろ。………な?』







posted by 白黒ぼたん at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184480961
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
余計な揉め事 by ぼたん (10/18)
余計な揉め事 by はるりん (10/18)
甘い欲求 by ぼたん (10/17)
足りないイツキ by ぼたん (10/17)
甘い欲求 by はるりん (10/16)
足りないイツキ by はるりん (10/15)
誘惑・5 by ぼたん (10/13)
誘惑・5 by A (10/12)
誘惑・5 by はるりん (10/12)
誘惑・3 by ぼたん (10/11)