2018年10月05日

宴席・1








場所は、どこぞの繁華街のビルの地下。大きなフロアがあるクラブが貸し切られていた。

その前の段階で当事者…、池袋の嶋本組の多田組長、若頭の円城寺、若頭補佐の笠原は、すでに重要な話し合いを終えていた。
今回の揉め事は、多田の後継を狙い、血気盛んな笠原が先走ったものだったが…上部組織の介入もあり、それは諫められた。
とりあえず順序を護れよ、と諭され、しのぎの分割や分配などが行われ、笠原も矛を収める。

しばらく体調を崩していた円城寺の快気祝いも兼ね、この宴席が設けられた。
本来ならば部外者の黒川や、他の組織の人物。それらの連れ合いや、華やかな女性や。
そんな者たちが招待されているのは、今回の揉め事が、実は大した問題では無かったのだと内外にアピールする為でもあったのだろう。



もっとも、黒川の同伴にイツキが指名されたのには、別の理由があったのだけど。








「…もう、喧嘩は終わったんでしょう?…俺を巻き込まんで下さいよ」
「は、は。すまんな、黒川。まあ、今日はただの飲みの席だ。楽しんで行ってくれ」
「……そうだと良いんですがね…」


案内されたソファのブースには円城寺が座っていて、黒川は挨拶の後、軽く愚痴を零す。
円城寺の隣りにはホステスらしい女性がいて、黒川とイツキのグラスを用意していた。

イツキは、円城寺とは、実は初対面だった。
それでもお互い、話しで知っているのだろう、イツキはぺこりと頭を下げる。


「よく来てくれましたね、イツキくん。……黒川が迷惑を掛けてないかい?」
「……いえ…」



そんな言葉を掛けられて、イツキは照れたように微笑む。
宴席は穏やかに始まったが、……その様子を、離れたブースから伺い見る男が、いた。






posted by 白黒ぼたん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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