2018年10月08日

宴席・3








「……あ」


と、イツキは小さく声を上げて、慌てて視線を逸らせ、下を向く。
何気に見ていたステージの片隅で、ストリップだか生板だか、とにかく…猥雑な行為が始まっていた。
こんな場所では別段、珍しい事でもないのだろうが、かといって、凝視するのもおかしくて。
イツキは目のやり場に困り、黒川を頼ろうにも、……黒川は叔父の円城寺と、何やら真面目な話をしている。

人や金や場所の名前。…ときおり聞こえる単語のみでは、話の全容は解らないが、「若造」と言っているのは、多分、笠原のことなのだろうと思う。


そう。このフロアには、どこかに笠原がいるはずだった。
未だに姿を見せないのが逆に怖くて、イツキは身構える。






「………悪いな、黒川。面倒を掛けたな。……だが…」


込み入った話が終わったのか、円城寺が腰を上げ、最後に黒川の肩をぽんぽんと叩く。


「……とりあえず、まとまった話だ。……騒ぎを起こすなよ?」
「…そんなもの、あちらさんに言って下さいよ……」
「…まあ、それはそうなんだがな…、……はは」



円城寺はそう言い、イツキには柔らかい笑みを浮かべ「……じゃあ、またね、イツキくん」と軽く手を挙げる。
イツキは頭を下げ、…これで今日の用事は終わったのだろうか…と、横目で黒川を伺う。








終わる筈もなく。


「……先日は、どうも。……黒川さん」


円城寺が席を立つのを待っていたかのように、笠原が姿を現した。






posted by 白黒ぼたん at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184632065
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
フェスタ・26 by はるりん (12/14)
フェスタ・25 by ぼたん (12/13)
フェスタ・25 by はるりん (12/13)
フェスタ・24 by ぼたん (12/12)
フェスタ・23 by ぼたん (12/12)
フェスタ・24 by はるりん (12/12)
フェスタ・23 by はるりん (12/11)
フェスタ・21 by ぼたん (12/09)
フェスタ・21 by はるりん (12/07)
フェスタ・19 by ぼたん (12/05)