2018年10月16日

宴席・9







黒川の言葉と手に、イツキはドキリと…胸が苦しくなる。
別に、愛の告白をされた訳ではないのだが、黒川にしては上出来な言葉。

笠原も、黒川がここまでストレートにイツキに固執するのは、少し意外だったようだが…


……それも、想定内だったか。
……馬鹿にしたように、くっくと、含み笑いを浮かべる。




「黒川さん。…それは、惚れた女に言うセリフですよ。……まさか、この子が、そうだって言うんですか?……そんなに?」



笠原は大袈裟な手ぶりまでして、そう言って笑う。
そして、後ろに控えていた手下にまで同意を求め、さらに大声で騒ぎ立てる。
…煽り、逆撫でし、こんな騒ぎは面倒だと黒川がイツキを手放すのを狙っているのだろう。


同業者の多いこんな場所で、イツキの様な子を本気で大切に思っているなど、
……たとえ、それが、本当のことだとしても……
声高に、公言できるはずはない。さすがにそれはプライドが許さないものだった。






「…こんなに幼い子をねぇ…、黒川さん、女に不自由してるんですか?……私、紹介しましょうか?」
「不自由してるのは、あんただろう?……人のモンに手、出すなよ」
「……ただのウリだろう!?……売ればいいだろう!」
「ウリだとしても、あんたには売らん」
「……!」






激昂したのは笠原の方で、
笠原はテーブルの上のボトルとグラスを手でなぎ払う。






posted by 白黒ぼたん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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