2018年10月16日

宴席・10







イツキは
ステージの女性と笠原と、そして黒川を、忙しく代り番こに見遣る。
おそらく今の状況で、自分に出来ることはほぼ無くて、困ったような笑顔を浮かべながら酒のグラスに口を付ける。


『……こいつは、俺のだ。もう、いらんチョッカイは出すな』


と、黒川に抱き寄せられる。
いくら笠原へのポーズだとは言え、今まで面前で、そんな風に言われた事は無いので、

イツキは今、何が起きているのだろうかと…、…軽くパニックになる。




黒川の言葉は嬉しいけれど
自分は、そんな、大層なものではないと…、心の何処かで謙遜する。
……そう。……ほんの少し前まで、ステージの女性のように扱われていたのだから。




黒川と笠原の会話は、激しさを増す。

二人とも、眼光険しく相手を威嚇し、凄みのある声で張り合う。

ブースの後ろに控えていた笠原の手下が、トランシーバーのようなもので連絡を取り始める。

向かいに座っていたホステスは、尋常ではない雰囲気に、そっと席を立つ。




ガシャン、と大きな音が響く。
笠原がテーブルの上のボトルとグラスを、手でなぎ払ったのだ。
直後に、黒川が、そのテーブルを足で蹴飛ばす。さらに大きな音が響く。



賑やかだったホール内が、一瞬、水を打ったように静かになる。




物音に、何ごとかと、イツキ達のブースに視線が集まった。






posted by 白黒ぼたん at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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