2018年10月19日

宴席・11







「……こんな場所でやる気かよ?…笠原さん」
「…それはあんたのセリフだろ?……ウチのシマだぜ?」


お互い、熱くなり過ぎていた。
あと一つ、何かが起これば、取り返しのつかない事になると、イツキにも解った。
物音に、何ごとかと、他のブースから男達が集まる。
その奥からは、黒川の叔父の円城寺が、心配そうな表情で覗き込む。

『…騒ぎは起すなよ』

と、言った言葉が、チラリと頭をよぎる。








「……あー、……ごめんなさい、…俺………」

突然声を張り上げたのは、イツキだった。
おどけたような甲高い声。立ち上がり、テーブルの上の倒れたグラスを直す。


「……ごめんなさぁい。……少し、飲み過ぎてます……」


そう、言う。
そして立ち上がったついでに、ブースの外側に顔を向け、こちらの様子を伺っていた他の衆に微笑み、頭を下げる。


周りからは、黒川と笠原の会話の内容までは聞こえなかっただろう。
ただ、酒に酔った子が暴れただけだと…、どうにか取り繕い、誤魔化せたのか…。



イツキは、騒いでしまって申し訳ないと、もう一度頭を下げ、そして

今度は、笠原の隣りに座る。

呆気に取られた黒川が、次の言葉を探す間もなく、イツキは



「…笠原さんもー、マサヤもー、おれのこと、好きすぎですぅー……」


などと、呂律の回らない酔っ払いのフリをし、しかも
笠原にしな垂れかかり、腕まで、組んでみるのだった。







posted by 白黒ぼたん at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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