2018年10月20日

宴席・12








一瞬、緊張感が走ったホール内も、元のざわめきに戻る。
イツキは無駄にニコニコ笑い、通りかかったボーイに新しいグラスを頼み、黒川と笠原と自分に、飲み物を用意する。

グラスを持つ手がカタカタと震えているのは、多分……皆にバレている。






「……俺、イイですよ、別に。……笠原さんと…」


イツキの言葉に、黒川はぎょっとした様子。
おそらく、イツキなりに、一触即発の場を取り繕おうとしているのだろうが…
……慣れない事は、するものではない。


「…だって、ビジネスでしょ。……でも笠原さん、俺、すごーく、高いですよ?」
「……は、は。……いいね。黒川さんより、話が解るね」
「でも、…だから…。……もう、ケンカしちゃ駄目です」





『…勝手な事を言うな』と、黒川が身を乗り出し口を開きかけたところで、
イツキは黒川を見て、何か一人で決意したように、こくんと頷き、静かに微笑む。

確かにあのまま、騒ぎが大きくなっても、厄介だったが
かと言って、こんな収束を狙っていた訳でもない。

珍しく、他の男には売らないと、護ってやったと言うのに…
自分から無碍にするとは、意味が解らない。




「…ね。マサヤも。…叔父さんに、怒られちゃうよ?」


もしかしてイツキは…単に、笠原と寝てみたいのではないか…
そんな馬鹿な考えを打ち消すように、黒川はふんと鼻息を鳴らし




「好きにしろ。……ああ、笠原さん、本当にこれで終いだぜ?」

と、言った。






posted by 白黒ぼたん at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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