2018年11月05日

懇願と混乱








「……なんでも、してあげるよ…?」


そう言われて、イツキは少し返事を詰まらせて、視線を泳がせる。
それからすぐ、また正面を向き、笠原に向かって手を伸ばす。
右手で、頬をさする。
笠原も、そのイツキの右手に自分の手を重ね、口元に持ってきたりする。




「………優しく、……して欲しいんだけど…」
「ん?……優しいのは苦手って……」
「………あの女の人。………さっきのお店の、ステージにいた人」



突然、そんな事を言いだすものだから、笠原は目を見開いて、イツキの様子を伺う。
……別に、おかしな事を言う風でもない。まっすぐに、自分を見つめている。



「……野田鉄筋の娘。……知り合いだった?」
「ううん」
「…じゃ、何故…。…元はと言えば黒川も一枚噛んでいるんだぜ?…奴が借金を増やしたんだからな…」
「だったら尚更だよ」



イツキは、上げていた手を、笠原の指ごと自分の口元に引き戻す。
今度は自分がその指をくわえ、ぺろりと舐め、軽く、甘噛みする。




「……可哀想なの、ヤなの。……借金あるの、仕方ないけど。……出来るだけ、優しくしてあげて。……それと…」

「……それと?」







甘えた声。すがる眼差し。
イツキの動き逐一に、笠原は軽く混乱する。
……何を言い出すか、何をしだすか…解らない。それを追いかけている内に

どこか奇妙な場所に嵌り込むようだ。





「……おれ、後ろから…されるの、好き。壊れちゃうくらい、突いて欲しい…」





posted by 白黒ぼたん at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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