2018年11月09日

言葉の途中






イツキが自分の部屋に戻って来たのは、その夕方のこと。
部屋に、黒川の姿はなく、イツキはなんとなく安堵する。
すべて了承の事とはいえ、やはり…、男に抱かれ、帰ってきたばかりというのは…顔を合わせるのは嫌なもので…

イツキはすぐに風呂に入る。念入りに時間をかけ、洗える場所は全部洗う。



「……わっっ……」



キレイさっぱり洗い流し、風呂場を出ると、目の前に黒川がいて、イツキは思わず声を上げる。



「……帰っていたのか」
「…それはこっちのセリフだよ。…ああ、びっくりした…」



黒川は返事の代わりにふんと鼻息をならし、キッチンへ入る。


…風呂場のすぐ前にいたという事は、…黒川は帰宅後、水音に気付き、様子を見に来た…、という事なのだろうか。




「…マサヤ、コンビニ、行ってた?……トイレの電球、買った?」
「……買うかよ」



濡れた髪の毛を拭きながら、イツキもキッチンへ入る。
黒川はちょっとそこまで買い物に行っていたようで、ビニール袋から煙草や、ツマミは取り出すものの…、イツキが欲しいものは入っていないようだった。



「……もう!……まあ、いいけど…。……今日はお休み?…事務所はいいの?」
「……ああ」
「…ご飯、どうする?………俺、…お腹空いたか…も………」






言葉の途中。
流し台の前に並んで立つ黒川が、イツキの肩を抱き寄せる。





「お前、そんな事より、話す事があるだろう?」






posted by 白黒ぼたん at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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