2018年11月13日

拉致







「イツキ、何飲む?コーヒー?カフェラテ?カフェオレ?
リンゴジュースは百パーだけど、オレンジはなっちゃん、な。
……あー、待て待て待て。その唐揚げ、俺、頼んだって。こっちのテーブル!」



梶原のトークを聞いて、イツキはすでに、軽く眩暈を起こす。



久しぶりに学校に行ってみようと、黒川の腕枕を解いて、イツキは制服に袖を通した。
昼前には着いたのだが、今日は、昼でお終いなのだと言われ、
これからクラスの数人とファミレスに行くから、付き合え、と、半ば強引に連れて来られる。

まるで、拉致されたよう。
先日のものとは、大分様子が違うけれど。



「………俺、…ウーロン茶、貰おうかな」
「おう」


通路側の席に座っていた梶原が、ドリンクバーにイツキの飲み物を取りに行く。
テーブルの端では名前を知っている程度の女子が、レアなイツキを見てきゃっきゃと騒ぐ。



「…はい。ウーロン茶。後は?なんか食べる?」
「…いや、夜は別に食べに行くから……」
「ふーん?」




梶原はイツキを奥の席に押し込むようにして、その隣に座る。
運ばれて来た鶏の唐揚げを小皿に取り、イツキの前に置く。



「……ま、そんなに嫌な顔すんなよ。……こんな風にみんなでファミレスだって、あとちょっとだぜ?
来週は、卒業式だしさ」



そう言って梶原は、さみしそうに笑うのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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