2018年11月16日

階段・2








「………すみません、社長。わざわざこちらまで来て頂いたのに…」
「…ああ。……まあ、いい…」



黒川と一ノ宮は急ぎ、ハイヤーで横浜に向かったのだが
結局トラブルは思ったほど深刻なものではなく、到着の前に、解決してしまったのだと言う。
黒川はソファに座り、さすがに疲れた様子で、溜息を付く。
今日はスーツを身に纏った秋斗が、申し訳なさそうに、テーブルに茶を置く。


「…腹が減ったな…。寿司でも取るか。……どうせ、仕事は残っているんだろう?」
「……ええ。でも、今日明日に…というものでは……」
「来たついでだ。片付けておくか。しばらく、池袋に掛かりきりで、こっちは見ていなかったからな…」


とんぼ返りも面倒に思ったのか、帰るのは諦める。
腹ごしらえを済ませ、テーブルに書類を広げ、黒川と一ノ宮、そして秋斗の三人は真面目に仕事に取り組むのだった。










イツキは、清水と、薄暗い階段を降りる。


「……先輩、……みんなのとこ、行くんじゃなかったの?」
「最後だからな。顔だけ、と思ったけど、…別に会いたい奴もいねぇしな。お前といる方がいい…」


ファミレスの入り口で思いがけずイツキに出会った清水は、半ば強引に手を引いて、連れ出してしまう。
…イツキも、黒川との約束が無くなり、どうしようかと考えていた所だったので…なんとなくそのまま、付いて行ってしまう。




二人が向かった先は、以前、よく訪れたクラブで
薄暗い階段を降り、クラブの入り口の扉を開くと、あの時の…、……清水と過ごした時間と気持ちが、懐かしい香りのようにイツキの心に広がった。






posted by 白黒ぼたん at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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