2018年11月20日

階段・4








「…もう、これぐらいで大丈夫だと思います。後は明日、リーさんに確認を…」
「そうだな…」


広げた書類を封筒にしまって、秋斗は散らかったそこらを片付ける。
黒川はソファで背伸びをし、煙草に火を付け、一服する。


「……社長、これから、……どうなさいますか?」
「うん?……今日はこっちに泊まるか…。一ノ宮がホテルを用意していたな……」
「……僕も、……ご一緒していいですか…?」


秋斗の申し出に、黒川は少し驚いた顔を見せる。
最近の秋斗は、自分から媚びを売るような仕草は見せてこない。
勿論ビジネスとなればそこは割り切り、今までのように身体を張る事に躊躇はないのだけど……それ以外は
黒川に対してさえ、素っ気なく、つれない態度を取っていたのだが。


「何だよ。カレシが家で待っているんだろ、…俺に付き合わなくてもいいぜ?」


半分馬鹿にした様子で、黒川はそう言って紫煙を吹かす。
けれど秋斗は俯き、首を左右に振り、どこか寂し気に


「……今日は、……いないんです。……社長、ちょっとお話、聞いて貰えませんか?
……ホテルのバーで、……飲みながら…でも……」


と、言うのだった。














イツキと清水は順調にグラスを重ねる。
最近の出来事をすべて、事細かに話すことはしなかったが、それでも清水には、ある程度の状況が理解できた。
要は、敵対していた組の若頭に付け狙われ、挙句、問題を収めるために抱かれてしまったのだと言う。



「………クソ。…何やってんだよ…!」


清水は静かに悪態を付く。どうも、怒っている風で、イツキは肩を強張らせながら上目遣いで清水を伺う。


「……だって…。…それで終わりにするって……言うから…」
「そんな言葉、信じられる訳、ねーだろ?」
「…先輩、……怒ってる?」


清水は険しい顔でイツキをチラリと見て、手元のグラスを一気に飲み干した。




「……お前にじゃないよ。…黒川さんにだよ。……なんで、黒川さんが付いてて、そんな事になるんだよ」




posted by 白黒ぼたん at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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