2018年12月06日

感傷・2







黒川は、子供を抱くのが趣味だった訳ではない。
最初、イツキに手を出したのは、仕事で面倒ばかりを起こすイツキの父親への、ちょっとした嫌がらせ程度だった。
まだ「男」になる前の少年。美人の母親似で、売り物にしても十分な容姿。
適当な言葉で騙し、ベッドに押し倒すのは酷く簡単で、初めての行為に泣き叫ぶ様子は意外と…、…好みだった。


何度目かに会った時は、中学の制服を着ていた。
詰襟ではなく、ブレザーで。否が応でも真面目に見える姿に、余計にそそられた。
ブレザーを剥いで、ワイシャツのボタンを飛ばす。…ああ、最初の頃は下着に丸首のシャツを着ていたと、変な事を思い出す。
何もかもが野暮ったくて、そのくせ裸になると、今までに抱いたどの男よりも女よりも反応が良かった。







「……5年、…6年になるのか……?」



イツキが出掛けた後、黒川はキッチンで自分のコーヒーを淹れる。
飲み、一息つき、イツキと一緒にいる年月を数える。
イロイロあったと、そんな簡単な言葉では言い尽くせない程、色々な事があったのだが
今は案外、穏やかに暮らしている。それが自分でも不思議でならない。

手元のマグカップに目を落とす。





流しには、同じデザインの、イツキのカップが置かれていた。




posted by 白黒ぼたん at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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