2018年12月12日

感傷・6







一緒に過ごす時間が長すぎるからと言って、慣れ合うつもりは無かった。……恋人でもあるまいし。
ただ、一緒に食事をし、リビングでくつろぎ、擦り切れるほど身体を合わせ、寝顔も、寝起きの顔も見ていれば、
情が沸かない、という方が無理な話だろう。


泣き顔より、穏やかな笑顔をよく見かけるようになったのは、いつからだったか。

最初、武松寿司の厚焼き玉子を食べさせた時のことは、なんとなく覚えている。




マンションからそう遠くない場所にある、馴染みの寿司屋。
西崎あたりと飲みに行き、帰りに、折り詰めを持たされた。
部屋に帰ると、すっかり居着いたイツキが、ソファに寝転びテレビを見ていた。
折り詰めをテーブルに置き、「…土産だ。食っていいぞ」と言うと
単純な笑顔を浮かべ、いそいそ、緑茶などを淹れてくる。




「……すごい。美味しい。……俺、お寿司、好き…」
「ふん。……そんなの、どこにでもあるモンだろう」
「ええ?そう?……あ、この玉子焼き、すごい美味しい。……甘くて…、しっとりしてて…。……美味しい…」


無邪気に喜び、玉子焼きを頬張る姿が、可笑しくて、……つい、こちらの気も緩む。


「……そんなに美味いなら、今度、店に連れて行ってやる」




そう言うとイツキは、ぱっと目を見開いてニコリと笑い、こくんと頷いた。









黒川、トゥンク!
posted by 白黒ぼたん at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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