2019年01月07日
小話「帳消し・2」
それはどちらかと言えば快楽より、痛みの方が強くて
イツキは始終、手足を強張らせて、鳴き声を上げていた。
ガチガチと歯が当たり、唇が切れるような乱暴なキスや
およそ愛撫とはかけ離れた、素肌を這う爪先や
黒川の加減が効かない訳ではない、わざと、そうして、イツキを追い詰めているのだ。
チラリと伺う猟奇的な視線が、イツキに、……昔の感覚を思い出させる。
「……マサヤ…、……ねえ?、………待って、………マサヤってば…」
イツキは手を伸ばし、黒川の髪の毛をくしゃりとやって、すがる様な甘えた声で懇願するも、今日の黒川にそれは通用しない。
ぱん、とハエでも打つように弾かれ、うつ伏せに引っくり返され、ホテルの備品のジェルを、尻に垂らされる。そして、
「……やっ…、………いたい、いたい、いたい……ッ」
馴染むより先に、黒川の腕が、中へと捻じ込まれる。
さすがにイツキも悲鳴を上げ、激しく頭を左右に振って、どうにかこの状況から逃れられないかともがく。
多少、滑りがあるとしても、無理な話。腕を動かされると、そのまま、身体が裏返りそうになる。このまま、腹を突き破られるような、そんな恐怖も沸く。
「……………や…っ…」
入った時と同じように強引に、腕が引き抜かれると
……瞬間、イツキの身体に、得も言われぬ痺れが走る。
目からは涙が、口からはヨダレが垂れ、突き出したままの腰をかくかくと揺する。
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