2019年01月16日
思い出の場所
イツキはこの学校に転入して間もなく、この美術室横のトイレで、上級生に乱暴された事がる。
…未遂、ではあったが、服を汚され、それなりにショックも受けていたので、清水に、助けを求めたのだ。
「……お前、そんな事、ばっかりだったな…。……危なっかしいヤツ…」
「……ね。何でだろうね。……もう、慣れっこだから、いいけどさ…」
「慣れっこって…、お前…」
事もなげに言うイツキを、清水は呆れたように見遣る。
イツキはどこか遠くを見るような目をして、静かに微笑む。
この事件の後からか、清水との距離が縮まったのは。
急速に近づき……
……そして、心が千々に引き裂かれる思いで、別れたのだ。
清水が、西崎の息子で、学校での自分を見張るために黒川が寄越したのだと知った時の驚きは…、……もう、今となっては、笑うことくらいしか、出来ない。
「……イツキ、どうした?」
「ううん。……ああ、俺、もう、行かなくちゃ。…梶原たちと約束してるんだ」
「イツキ」
とん、と清水の身体がイツキに触れ、静かに壁際に押し寄せらせる。
決して力を込めてる訳でも、道を塞いでいる訳でもないのに、イツキはその場から動くことが出来なるくなる。
上背のある清水が、イツキの顔を覗き込む。
視線と、キスを避ける様に、イツキは顔を横に反らせる。
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