2019年01月25日
記憶の澱・3
黒川と「契約」を交わした後、……中学三年の頃は、とにかく、ヤってばかりで大変な時期だった。
前触れもなく呼び出されて連れ出されて、見知らぬ男達の相手をした。
ピンで留められた標本の虫のように、身体を開かれ、弄られ、貫かれ
嫌、嫌と首を振って涙を零しても、誰も助けてはくれず、皆笑ってばかりで…
それでも最後には、………良くなってしまって、
悪循環。
客は喜び、欲望のまま、さらに激しくイツキを抱いた。
そんな日々を過ごしていては、当然、自宅にも居づらくなる。
イツキは黒川にマンションの部屋の鍵を渡され、時間の殆どをここで過ごすようになっていた。
「……代々木、…品川、…新宿…。三つ目かぁ…。マサヤ、どんだけ部屋、持ってるんだろう……」
ソファのイツキは部屋をぐるりと見回して、そう、言う。
付けっ放しのテレビ、テレビを置いているローボード。いくつかある小さな引き出しは、今も秘密を隠しているに違いない。
『………ごめんね、………起こしちゃった…?』
あの時。
酷い仕事の後で家にも帰れず、黒川のマンションの部屋で、ソファに沈み込んでいた。
汚れた身体を洗うことも出来ず、軋む身体を誤魔化し、少しだけ眠りにつく。
物音で目を覚ます。
部屋には見知らぬ女性がいて、長い髪の毛を掻き上げながら、テレビが置かれたローボードの、引き出しを覗き込んでいた。
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